『文明の狂気』 みぞろぎ梨穂詩集『約束の大地』より #みぞろぎ梨穂 #青林堂 #こどもの日
『文明の狂気』 みぞろぎ梨穂詩集『約束の大地』より #みぞろぎ梨穂 #青林堂 #こどもの日
『約束の大地 想いも言葉も持っている』
書評はコチラ⇒http://bit.ly/2pDsoJC
みぞろぎ梨穂さんの詩集『約束の大地』から胸に刺さった詩を一編ご紹介したいと思います。
詩のタイトルは『文明の狂気』。
5月5日は「こどもの日」「端午の節句」
こどもの健やかな成長を願い、祝う日であり、本来すべての子供たちは親から望まれ、そして周囲から祝福され、この世に誕生してくるはずなのですが、そうとは言えない子供たちが少なからずいるというのも現実なのではないでしょうか。
もちろん、それぞれの家庭にそれぞれ理由(わけ)があるのでしょうから、頭ごなしに批判できない面はあると思いますが・・・。
それでもやはり「命はみな平等だという言葉をなぜたやすく手放そうとするのか」、「なぜ万歳と命の誕生を喜べないのか」との梨穂さんの言葉は重く響きます。
『文明の狂気』
誰は生きていい
誰は生きてはいけないと
どうしようもない考えがまかり通っている。
ボロボロの世の中を生きていて
よほどのことがない限り
みんな茫然と立ちつくすしかないみたいだが
わたしはそんな今だからこそ
私たちの声を届けなくてはいけないと思っている
文明は狂気の姿を時としてする
よほど注意していなくては人は狂気に飲み込まれてしまう
私たちは小さな存在だけど常に狂気に敏感だ
まるで煩悩ばかりの人生に見えるかもしれないけれど
私たちはよく文明を知っている
なぜなら今私は文明のおかげで私の命をかろうじてつないでいるからだ
でも私たちの命をつなぐ医療が
生まれてくる命に線引きしようとしている
だから私はあえて言う
私の命を生かすなら線引きはやめよと
命はみな平等だという言葉をなぜたやすく手放そうとするのか
もし命が平等でなければ
明日あなたも線の外側に追い出されるかもしれない
なぜ万歳と命の誕生を喜べないのか