グローチウス著『戦争と平和の法』 戦争及び戦争の法 #グローチウス #格言 #戦争と平和の法 #国際法

戦争及び戦争の法

ある人々が、戦争においては、すべての法(ユス)が休止すること、法を実現するためにあらざれば戦争を企てるべきでないこと、而して一度戦争が行はれた時には、法と真実の限界内においてのみ行はれねばならない、と考へたことは全く認むべきではない。 

デモステネスの至言に曰く戦争は「裁判(ユディキウム)の方法によって制御し得ない人々に対して行はれる」と。

 

何故ならば、反抗するには弱すぎると感ずるところの人々に対しては、裁判は効果があるが、同等に強くあり、また自分自身さう考へる人々に対しては、戦争が行はれるからである。しかし、戦争が正しくあるためには、裁判が行はれるとき常に存すべきと同じ慎重さ(レリギオ)で戦争が行はれねばならない。

 

それ故、戦の最中には、法は沈黙するかも知れないが、沈黙するものは国民法や裁判関係法規や、平時に特有の法規のみであって、恒久的な且つあらゆる時に適応する法ではないのである

 

敵国間においては、成文法、すなわち国民法は、効力を失うが、不文法、即ち自然が定め、または万民の合意(コンセンス・ゲンチウム)が定立したところのものは依然効力を有するというプルサのディオの言葉は誠に至言である。

 

一又正雄訳『戦争と平和の法 第一巻』(1989年、酒井書店)

 

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グローチウス