『倉山満が読み解く 足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々』  “北〇の拳”し過ぎる!!逞しすぎる室町の人々 前作『太平記の時代』の面々がさらにパワーアップ!!

『倉山満が読み解く 足利の時代力と陰謀がすべての室町の人々』

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“北〇の拳”し過ぎる!! 逞しすぎる室町の人々--前作『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』の面々が、さらにパワーアップ! 

正直、室町時代と言えば、「足利尊氏足利義満金閣寺、以上おわり」という程度の知識しかなかったのですが、これだけ個性的なメンツが揃っていたとは、改めて驚きを禁じ得ません。
当時流布されていた、終末観的百王説とも相まって、まさに“北〇の拳”に出てきそうな個性的な人物たちが、ところ狭しと暴れまわります!!
 
■楽しすぎる主要人物
足利尊氏・・・謎のカリスマ性を持つ、引きこもりがちで、躁鬱気質の初代将軍。ケタ外れの強さを誇る。悲しくなると地蔵菩薩の絵を描きたくなる。「北〇の拳」でいえば、強さ以外は、まるで社会不適合者のケンシロウに近い気が。
 
足利直義・・・尊氏の弟。事実上の副将軍。昔は尊氏が「この世の栄華はすべて直義に与えたまえ」と願文を捧げるほどの仲の良い兄弟だったのに、尊氏のご落胤である直冬を養子にしてから、徐々に亀裂が入り、命を狙い狙われる関係に。
友人同士であったにもかかわらず、ユリアをめぐって関係が悪化したケンシロウとシンの間柄を彷彿とさせる。(ケンシロウとシンは兄弟ではありませんが)
 
佐々木道誉・・・本書の主人公。変幻自在に乱世を生き抜く、己の才覚のみでのし上がる婆娑羅大名の代名詞。実は当代一流の教養人にして文化人。道誉のイメージは、「食いたい時に食い、飲みたい時に飲む」「俺はあの雲のように 自由気ままに生きるのよ」という名セリフで有名な、“雲のジュウザ”で決まりでしょう。
自由奔放、無頼のようでいて、義に篤いところもイメージ重なります。(ジュウザはユリアのために全てを捧げましたが、道誉も尊氏以下、足利家のために一族全てを捧げます)
 
足利直冬・・・尊氏のご落胤。不憫に思った直義が養子にするも、そのことが尊氏・直義兄弟が不仲になる原因に。NHK大河「太平記」では強度のファザコンとして描かれたとか。その屈折ぶりから、「愛などいらぬ」と豪語しながら、その実、誰よりも愛に飢えていた、聖帝サウザーを想起させます。やたらと戦に強く、根性があるのは、やはり父親譲りと言わざるを得ません。
 
足利義満・・・三代目将軍。史上最も皇室に迫った怪物。実は後円融天皇とは“いとこ同士”。北〇の拳で言えば、ラオウよりもカイオウに近いか。権謀術数に長けているだけでなく、祖父尊氏譲りの戦闘力も有し、非の打ちどころがない三代目。中国かぶれにして、自己顕示欲のかたまり。
※その自己顕示欲の強さが、没後600年の時を経た“系統図”にすら現れているとは恐れ入ります。(P206参照)
孫子専門家の海上知明先生の評によれば、孫子の体現者といえば「秦の始皇帝か、武田信玄」なのだそうですが、個人的には、その間に割って入ってくるぐらいの「孫子の使い手」に思えてなりません。
 
一条経嗣・・・ヘタレで小心者の関白。ただし最後の最後、土壇場で皇室を守った救国の英雄。北〇の拳でいうならバット辺りかなと言いたいところですが、のび太が相応しい。
 
こんな個性的な人物たちが、暴れまわっていた室町の時代、面白くないわけがありません!
 
■教養こそが国を、皇室を、そして大事な人を守る。
「はじめにーなぜ私が室町を語るのか?」の締めにおいて、倉山満先生は次のように語っています。
 

「だから私は、本書を、日本を愛し、教養を身につけ、皇室と大事な人を守りたいと思っている、すべての人に捧げる」

  
なぜ、室町を語ることが日本を愛し、教養を身につけ、皇室と大事な人を守ることに繋がるのか―? 
本書の主人公・佐々木道誉と裏主人公・足利義満
まるで対照的な二人ですが、共通点がひとつあります。それは二人とも恐ろしく“教養が高い”という点です。
 
■教養を武器に皇室の危機を救った道誉
道誉は婆娑羅大名の代名詞が如く言われる人物ですが、実は連歌集『菟玖波集』の編纂者にも名を連ねる一流教養人・文化人でした。
そもそも佐々木一族は代々、御家人の中でも特に公武に信頼がある一族しか任じられない検非違使(京都を警護する職)を担う家柄です。
また、後醍醐天皇の護送役を務めた時のエビソードや、千種忠顕を預かった時の件や、公家の北畠具行の護送と処刑を務めた時のエピソードなどからも、道誉は、実は義を重んじ、伝統を重んじる人物だったことが伺えます。
 
そういった教養の高さが、その道に通じた人たちの特別な信頼関係、道誉でなければ築けない人間関係、人脈の構築に寄与していきます。
 
その際たるものが盟友、勧修寺経顕との友情でしょう。
治天の君の側近として院執事と武家伝奉を兼ねるような家柄だった勧修寺経顕は、明治政府で例えるなら、三条実美有栖川宮岩倉具視を一人でやっているような人物だったそうです。
 
そんな経顕との友情が、「三上皇拉致事件」という室町幕府の最大の危機に際して、最大限生かされます。
ある意味、武力ではなく、道誉の教養が、北朝室町幕府の危機を救ったと言えます。
 
■教養を武器に皇室を危機に陥れた義満
道誉が教養を武器に皇室を救ったのだとすれば、教養を武器に、皇室に肉薄したのが三代目将軍義満であると言えます。
 
義満は宮中きっての義満びいきだった二条良基から宮中での作法や和歌などを学んでいました。その知識は当時の公家たちをも凌駕するほどであったそうです。
 
また、何か仕掛けるときにも、必ず先例になぞらえ、先例の範疇を超えない範囲で皇室を“追い込んでいくの”です。こうされると、誰も文句が言えません。
(このあたりが、まさに孫子の兵法でいう「戦わずして勝つ」の真骨頂のように思えてなりません。)
 
そういった長い年月をかけた累積戦略の積み重ねでもって、王権簒奪目前まで迫ります。
 
■怪物・義満の野望を打ち砕いた“のび太” 
そんな王権簒奪目前まで迫った義満の野望を打ち砕いたのは、ヘタレ関白、“室町ののび太”こと一条経嗣でした。
自らに尊号を求めてきた義満に、一条経嗣は最後の土壇場で仕掛けます
これによって義満は自らが治天の君となるべきタイミングを一旦逃してしまい、戦略を再構築しようとした矢先に謎の死を遂げます。
  
倉山先生の別著「世界一わかりやすい地政学の本」においても「一万人の“のび太”に本書を贈ります」という言葉とともに、「ドラえもん」の最高傑作と言われる「さようならドラえもん」でのエピソードが語られています。
 
未来に帰らなければならないにもかかわらず、のび太のことが心配で帰れないドラえもんを安心させようと、ジャイアンに決闘を挑む、のび太の姿が描かれています。
のび太はボロボロになりながらも、ジャイアンにしがみつき、音を上げたジャイアンが負けを認めます。のび太の勇気を見たドラえもんは安心して帰ります。
 
自分の運命は自分で決める。他の誰の支配も受けない。
 
自ら主体的に行動したからこそ、得られるもの-。
 
一条経嗣が行動したからこそ、皇室は守られました。
 
■微力は無力ではない。~のび太でも国を、皇室を、大事な人を守れる~
皇室と国民の絆が今も固く結ばれていることは、陛下の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」および、それに対する国民の反応によって再確認されました。
  
「皇室を守りたい」というのは圧倒的大多数の国民が抱いている思いと言えます。
 
では、どう守るのか。
そこに対する知識が今の私たちには圧倒的に欠けていると言わざるを得ません。
そのために浅薄な天皇論に右往左往される人も少なからず存在してしまうのではないでしょうか。
よく理解できていないなら、「じゃあ、よく理解できるようにしましょう」(倉山先生・談)との気持ちから生まれたのが、先日、緊急出版された『日本一やさしい天皇の講座』なのだそうです。
 
本書『足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々』で行動することの大切さを学び、『日本一やさしい天皇の講座』で“どう守るのか”を学ぶ。
そうすれば、たとえ、のび太であったとしても、国を、皇室を、大事な人を守れるようになれるのではないでしょうか。
 
日本一やさしい天皇の講座』と併せて読むことをお勧めします。
おススメです!

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