革命のインテリジェンス: ソ連の対外政治工作としての「影響力」工作 ソ連の出先機関だった日本社会党(現・民進党)
書評『革命のインテリジェンス』佐々木太郎著
ソ連による対米、対日、対欧浸透工作の実態を暴く一冊
■アメリカにも共産党が存在した?!
実は”資本主義”、”自由の国”の象徴ともいえるアメリカにも「アメリカ共産党」という共産主義政党が存在しているということはあまり知られていないのではないだろうか。
私もアメリカ共産党の存在は「ヴェノナ」(ジョン・アール・ヘインズ著、中西輝政編訳。絶版)や「コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾」(江崎道朗著)を読むまで全く知らなかった。
たしかに今では”非合法化”され実態としては無いに等しいようだが、戦前~冷戦初期の頃、アメリカにおいて”赤狩り=レッドバージ”が行われるまでは一定以上の勢力を誇っていたようだ。
本書「革命のインテリジェンス」では世界最大の資本主義国であるアメリカに対して、そのアメリカ共産党を通じて、あるいはそれ以外のルートを通じてソ連の情報機関による「影響力」工作がいつ頃から着手されるようになったのか、その起源について明らかにしている。
ある人物はソ連の支援によって政治家を目指し、
ある人物はアメリカ共産党員であることを伏せてジャーナリストとして言論活動を行い、アメリカ国内の有名政治新聞で副編集長まで上り詰める。
ある人物はアメリカ政府高官でありながら、アメリカの国策にかかわる機密情報を非合法に提供し、ソ連に有利になるように誘導する。
ある人物は原爆の開発メンバーでありながら、その開発資料をソ連に提供し、ソ連の核開発、開発に要するコスト、開発期間を劇的に改善させる。
ソ連あるいは共産主義の浸透工作の凄まじさが改めて浮き彫りになっている。
■日本における影響力工作
アメリカに対するそれと同じように、日本に対する影響力工作もすさまじい。
本書によると与野党、マスコミ、公安関係者とありとあらゆるところに、その「影響力工作」は及んでおり、具体的な事例として本書では以下の事例が取り上げられている。
・自民党の代議士
・“周恩来の遺書“という偽文書をコラムにのせた大手新聞社の編集局次長 山本卓二※朝日新聞ではない。
・日本社会党の幹部たち
・公安関係者
1975年~79年まで東京のKGB駐在部に勤務して対日工作にあたり、その後アメリカに亡命したスタニスラフ・レフチェンコによる米国連邦議会下院情報特別会聴聞会における、日本における自身の活動についての証言、“レフチェンコ証言”によると
「KGBは1970年代において、日本社会党の政治方針を効果的にコントロールできていた。同党の幹部のうち10人以上を影響力行使者としてリクルートしていた」
とされている。
日本における共産主義の政党といえば、まずは「日本共産党」の名が挙がるだろうが、日本共産党は「中国の出先機関」であり、ソ連の日本における出先機関は「日本社会党」であった--。
それどころか、与党幹部にも、マスコミにも、公安当局にすら“エージェント”が入り込んでいた事実を本書は、元KGB諜報官であるレフチェンコ氏の証言やビットマン氏らの証言、それを裏付ける根拠資料と共に見事に暴き出している。
もちろん、個々の事例に関しては専門家の間では既に既成の事実であったのかもしれないが、それでも本書のような形でまとまった形でソ連の浸透工作をしると改めて浸透工作の凄まじさに、そして、その「日本社会党」の生き残りが、現「民進党」の幹部らであり、いまだ日本の政治の中枢に深く関与していることを思うと戦慄を覚える。
憲政史家の倉山満先生曰く「戦後の日本はアクター(当事者)ではなくシアター(舞台)に成り果ててしまった」そうだが、まさにアメリカ、ソ連共産党、中国共産党が入り混じっての“代理戦争”が日本の政治を舞台に繰り広げられていたのかと思うと、「戦後の日本は平和だった」という認識すら崩れてしまうのではないか。
これがまだ“序の口”だということが本書の内容の濃密さを物語っている。
日本の政治史、国際政治に興味がある人にとっては必読の一冊。
書評 『日本をダメにするリベラルの正体』山村明義著 リベラルは泥棒のはじまり?! #桜をやめると本が売れる
『日本をダメにするリベラルの正体』山村明義著
書評サイト 本が好き!http://bit.ly/2nwwFRq
■リベラルは泥棒のはじまり?!
昨年のイギリスのBrexitやアメリカの大統領選挙でのトランプ氏当選などからも明らかなようにいわゆるマスコミ・知識層に代表される”リベラル”の世界的凋落は火を見るより明らかになってきている昨今。
では、日本のリベラルの現状はどうなのか。
ジャーナリストの山村明義先生が書き上げた本書では、この「日本のリベラルの現状はどうなっているのか」という問いかけに対して、明確な答えを導き出しています。
それは「日本のリベラルは嘘と欺瞞にまみれている」ということです。
そして、嘘と欺瞞にまみれたリベラルは”多くのもの”を国民から盗み奪っているということも指摘しなければならない事実なのではないでしょうか。
ここではリベラルが国民から盗み奪ったものを3つ挙げたいと思います。
■リベラルが盗んだもの① 知る権利~イデオロギーを優先するリベラル~
マスコミが”最も優先しなければならない役割”とは何でしょうか?
それは「事実を正しく報道すること」であり、「国民の暮らしや安全に直結する出来事を速やかに報道すること」、すなわち「国民の知る権利」を充足させることが最もマスコミに求められていることであるはず。
ですが、この「事実を正しく報道する」、「国民の暮らしや安全に直結する出来事を速やかに報道する」という役割は適切に果たされていると言えるのでしょうか。
本書でも左派系メディアのことも含め、
思想的な「左翼」や、「平等主義」あるいは「寛容主義」的な「リベラル」を標榜する人たちは、「中立」を謳いながら、気に入らない相手を攻撃したり、批判したりする。
リベラルな人たちは現実と乖離した夢ばかりを語り、他人を批判することによって生きながらえてきた
と指摘されていますが、朝日新聞に代表されるリベラル系のマスコミ・新聞・TVなどを見ると、どう贔屓目にみても「事実を正しく報道すること」よりも「自らのイデオロギーを充足させる報道」を優先させているように思えます。
もちろん人にはそれぞれ個性があるように、マスコミ各社にもそれぞれに個性があって然るべきであり、物事を観る視点や切り口が異なることは否定しませんが、それも度が過ぎると単なる”偏向報道”あるいは”捏造報道”と言われても仕方がないのではないでしょうか。
例えば今現在、連日新聞やTV、ワイドショーを賑わせているのは「森友学園問題」や「豊洲市場移転問題」です。
一方で、北朝鮮が新型エンジンを開発したことや、トランプ政権が北朝鮮に対して「限定空爆」を含む、金正恩氏を排除する「斬首作戦」を検討していることなどは一体どれほどの時間を割いて報道されているのでしょうか?
秋田県では「ミサイルを想定した全国初の住民避難訓練」が実施されましたが、半島有事ともなれば、もしかしたら全国の都道府県で同様の訓練をやる必要が出てくるかもしれません。
それ以外にも北朝鮮から大量の難民が日本に押し寄せてくるケースや、北朝鮮によるテロ、例えば天然痘などを使った生物・化学兵器の使用が日本で行われる可能性も安全保障の専門家からは指摘されています。
(参考)
【日刊SPA!】北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】 https://nikkan-spa.jp/1302106
これらのことよりも「森友学園問題」や「豊洲市場移転問題」の方がニュースとして重要なのでしょうか?
マスコミが自らが「報道したいこと」を優先させることによって私たち「国民の知る権利」が盗み奪われ、「身の安全に関わることが疎かにされているのではないか」と感じるのは一部の人間だけではないはずです。
■リベラルが盗んだもの② 日本の国際社会での地位~いじめに加担するリベラル~
第二に、リベラルを自称する左派団体が盗み奪っているものとして、日本の国際社会での地位が挙げられます。
『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』(杉田水脈著)(http://bit.ly/2mzuMkp)によって明らかにされていることの一つは、人権団体を称する左派系団体が日本の国際的地位を貶める活動に日夜いそしんでいるという事実です。
普通の日本人の感覚でいけば、「日本人なのだから日本が好きなのは当たり前」のはずなのですが、どうやら「そうではない」人たちもいるようで、そういう人たち、すなわち「日本人なのに日本が嫌いな人たち」は中韓など諸外国の反日団体と連携して、「日本は悪い国でした」という悪評を国際社会に発信することに腐心しているというのです。
これによって、アメリカでは日系人の子供がいじめの被害に遭ったり、身の危険を感じるような事も発生しているということが『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』では取り上げられ紹介されています。
「いじめや差別をなくそう」というのが目的で設立されている”はず”の人権団体は、日本を貶めようとすることで間接的に「いじめ」や「暴力の助長」に加担しているという”事実”を目の前にして、何ら良心の呵責を覚えないのでしょうか?
■リベラルが盗んだもの③ 国民所得と経済成長~人権よりも財政再建が大事なリベラル~
最後に、日本のリベラルが盗み奪っているものとして国民所得と経済成長が挙げられます。
本書でも山村明義先生が指摘されていますが、安倍政権の行っている経済政策は実は「経済左派」の施策に他ならず、むしろ日本のリベラルの唱える経済政策は「経済右派」とも称すべき「シバキ主義」「清算主義」「設計主義」に凝り固まっており、とりわけ特筆すべき点として日本ではリベラルほど”増税”、”財政再建”を主張しているという”ねじれ現象”が生じている点が挙げられます。
カルビン・クーリッジ第30代アメリカ大統領は、「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である。」という名言を残しました。
またブレディみかこ氏という英国在住のリベラリストの著書『THIS IS JAPAN』によれば、「欧州では左派リベラルほど、大前提としてみな”反緊縮”の経済政策を志向している」と述べられています。
緊縮財政政策とは財政赤字削減を優先課題にすることであり、財政支出を削減したり、増税することでこれを達成しようとする政策のことです。
そうなると政府は公共投資を控え、福祉、住居、医療、教育といった最低限必要な分野への支出も減らし始めます。
イギリスでは過度な緊縮財政によって、公的インフラ削減・閉鎖によって公務員が失業または非正規労働者となったり、医者に診療を受けることが至難の業になったり、学校でも1クラス当たりの人数が増え、近所の学校が定員オーバーとなり街はずれの遠く離れた学校に通わなければならない生徒が出てくるという事態が現実に発生していると記されています。
極めつけは英国政府による障害者認定であり、障害者への生活補助金を削減するために「片手に指1本あれば就労可能」と皮肉られるほど障害認定の基準が厳しくなり、必要な支援を受けられなかった障害者が死亡するケースも相次いだため、国連から「英国政府は障害者の人権を侵害した疑いがある」として調査に乗り出す事態にまで至っているというのです。
「”財政赤字を減らすために人命まで犠牲にするのはおかしい”という庶民の叫びを反映させるために立ち上がったのがイギリスの左派系政党なのだ」
と指摘されています。
一方、日本ではどうでしょうか?
「緊縮財政は人権侵害だ」という声が日本のリベラルから聞こえたことはありません。
むしろリベラルが率先して「増税しろ、財政再建しろ、そのためには社会保障を、公共投資を削減しろ」と主張しているではありませんか。
ここに取り上げた事柄だけでもいかにリベラルが嘘と欺瞞にまみれているかということが明らかになっていると言えます。
■本当のリベラリズムは何処に
では、本当のリベラリズムは一体、どこにあるのでしょうか?
本書『日本をダメにするリベラルの正体』において、山村先生はその答えのひとつとして「あるもの」を提示されています。
「そこ」には「魂の自由」が存在していると。
また「それ」は最近大ヒットしたアニメ映画とも密接に関連しているそうです。
「それ」は日本が古来より持っていたものであり、私たちとってとても身近な存在でもあります。
ですが、戦後ずっと日本古来のものより外国製のものの方が素晴らしいかのように刷り込まれてきた私たちにとっては、むしろ「古くて新しいもの」であり、現代においては極めて「新鮮」に、「最先端のもの」に思えるかもしれません。
「それ」が何を指しているのか。
少しでも興味を持たれた方は是非本書を手に取って確かめてみてはいかがでしょうか。
お薦めです。
本が好き!書評PVランキング『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』がぶっちぎり1位!
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第3位 427PV 『嘘だらけの日仏近現代史』 倉山満
第4位 368PV 『川中島合戦:戦略で分析する古戦史』 海上知明
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書評『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』 日本を蝕む、”反日日本人と外務省”の闇
日本を蝕む、”反日日本人と外務省”の闇
書評『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』
書評サイト 本が好き!http://bit.ly/2mzuMkp
慰安婦像は反日日本人と外務省が生み出したと言わざるを得ないのではないか-。
本書は「慰安婦問題」を取り扱うことで、「従軍慰安婦が事実か否か」という歴史認識だけではなく、もっと「深い闇」がその根底にあるということを浮かび上がらせることに成功しています。
■日本を貶める反日”日本人”
本書が明らかにしているのは「日本を貶めたいと考えている”日本人”がいる」という事実です。
おそらく大多数の人にとっては理解し難いことなのではないでしょうか。
日本人なのですから日本が好きなのはごく自然なことだからです。そこに小難しい理屈を並び立てる必要はありません。外国の人から「日本って素晴らしいね」と言われたら素直に嬉しいですし、不条理なことがあれば「なんとかならないのか」、「いまよりももっと良くすることはできないのか」と思うのも「日本が好きだから」ではないでしょうか。
ですが、残念ながらそのように考えることができない日本人がいることも事実のようです。
戦時中においても日本共産党の野坂参三や、共産主義に染まったことで日本にいることができなくなった共産主義者のジョー・コイデらが米国側あるいはソ連の国際共産主義組織「コミンテルン」の反日プロパガンダに加担していたことが『ブラック・プロパガンダ』(山本武利著)、『アメリカ共産党とコミンテルン』(ハーヴェイ・クレア、ジョン・アール・ヘインズ著)等によって明らかになっていますし、最近のものでは『革命のインテリジェンス』(佐々木太郎著)において、日本のマスコミ、公安関係者をはじめ今の民進党の幹部たちの多くがその出自としている旧・社会党がソ連の工作機関であるKGBの影響下にあり、党の政治方針すらコントロールされていたことが明らかとなっています。
本書でも「慰安婦=性奴隷」というプロパガンダを国連の場に持ち込んだのは、ほかでもない”反日日本人”であるということが、多くの事実関係、講演会などで起きた悪質な妨害、嫌がらせ、国連の場の生々しい出来事の数々などによって示されています。
■「世界抗日連合」による「日本人民および日本政府への宣言」、およびその実践としての「慰安婦」
本書で特に注目したのは反日日本人が組織する左翼系団体が「世界抗日戦争史実維護連合会(世界抗日連合)」と連携しながら活動している団体であるということです。
ここで登場してくる「世界抗日連合」という組織は一体どういう組織なのか。
それは評論家の江崎道朗先生著の『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』において詳しく語られているのですが、「1994年に結成された、日本の戦争責任を追及するアメリカ、カナダ、香港を中心とする世界中の三十もの中国系、韓国系、日系団体が結集・結成した統一組織」なのだそうです。
その世界抗日連合は「南京大虐殺57周年世界記念会議」において「対両岸政府宣言」と「日本人民および日本政府への宣言」という2つの宣言を採択しており。「日本人民および日本政府への宣言」の中で次の”5つの要求”をしていることが江崎先生の手によって指摘されています。
- 1.中国人民への謝罪を公式に声明し、両岸政府に文書として提出する。
- 2.日本の歴史教科書の誤りを正し、歴史の真実を明らかにする。
- 3.中国および日本での”記念碑”を立て霊魂を慰め、その事実を”碑”に刻み、後世の人が過ちを繰り返さぬようにする。
- 4.あらゆる被害者に合理的賠償を実施する。
- 5.関連公文書資料を公開し、過去の日本の軍閥の罪行を明らかにする。
「中国および日本での”記念碑”を立て霊魂を慰め、その事実を”碑”に刻み、後世の人が過ちを繰り返さぬようにする」-。
世界抗日連合という国際的反日グループの一翼としての日系団体が主体的に実行しているのが「慰安婦問題」であるように見えるのは気のせいではないでしょう。
■かくも根深き外務省の闇~チャイナ・スクールと瀋陽総領事館事件
また、本書を読めば誰でも疑問を持つのが、これら反日プロパガンダに対する外務省の姿勢ではないでしょうか。
なぜ、これほどまでに日本が貶められているのに外務省は反論しようとしないのか-。
なぜ、日本を守ろうとしている側を外務省はないがしろにするのか-。
著者の杉田水脈先生が「一体どこの国の外務省か」と憤りを感じるのも無理はありません。
ですが、そのような外務省の外交姿勢は「弱腰外交」「事なかれ主義」という単純なレベルのものではなく、もっと根深い「闇」を抱えているものであることも事実のようです。
新著『日本をダメにするリベラルの正体』が絶好調のジャーナリスト山村明義先生の2014年の著書『GHQの日本洗脳』によれば、戦後GHQ占領下の外務省はGHQとの「連絡調整業務」以外は役割がなく、自主独立国としての「外交権」のほとんどを奪われた状態にあったそうです。
占領当初のGHQ「政治顧問団」の団長を務めていたのが初代外交局長(大使)となったジョージ・アチソンでしたが、アチソンは駐豪専門家として国務省を歩んできた「チャイナ・スクール」の外交官であり、中国寄りのアチソンは日本に対してとことん「強硬派」であり、当初は「外務省の廃止」すら迫って来ていたそうです。
このため、占領期のみならず戦後の日本は「補償外交一辺倒」となり、どの国でも当たり前の「自主外交」すら満足に出来ずにきたというのです。
特に注目すべきは作中で引用されている村田良平元外務事務次官の言葉で、
「日本は普遍的に受け入れられている民主主義や人権や自由についてさえ対外的には明確に語ってはならないとされていました。」
「民主主義の概念が組み込まれていない北朝鮮や中国の体制に対してさえ、基本的な自由とか人権について発言することを一切、控えてきました。」
のだというのです。
これだけにとどまりません。
山村明義先生の別著「外務省 対中国、北朝鮮外交の歪められた真相」では平成14年に発生した瀋陽総領事館事件※を主題に、いかに外務省内の「チャイナ・スクール」と呼ばれる面々が権力を握り、「中国への迎合と自己保身」だけを目的に存在しているのかということを明らかにしています。
(※瀋陽総領事館事件…総領事館に駆け込みをはかった「脱北者」家族5人を中国側に引き渡してしまった事件。「ハンミちゃん一家駆け込み事件」としても知られ、ハンミちゃんの父親、キム氏が逃亡中に必死で投げた手紙を日本領事が受け取ろうともしなかったことや、当時の阿南惟茂・駐中国大使が「大使館に入ってくれば、不審者とみなして追い出せ。人道的な面で問題になれば、わたしが責任を取る。入ってきて、面倒なことになるくらいなら、追い出した方がよい」と指示していたと報道され、人権軽視の事なかれ主義だと批判された事件)
同じ日本人として信じたくありませんが、外務省出身者の評論家・孫崎享氏や拉致家族を北朝鮮へ送り返そうとした田中均氏のような人物が外務省の要職を歴任していたことや、2017年の現在においても駐中国大使を務めているのが過去に南京大虐殺を認める発言をしたと言われている、チャイナ・スクールのエース、横井裕駐中国大使であることを思うと、本書で明らかにされている現在の外務省の姿勢も「さもありなん」という絶望にも似た気持ちになってしまいます。
■反日プロパガンダに対抗するために
では現状の打開策として一体何ができるのでしょうか。
例えば江崎先生は、前述の『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』において
・アメリカを舞台にした反日宣伝には英語で反論すべき。
・内外の反日宣伝に対処する専門機関の創設
・ASEANに代表される親日ネットワークおよびアメリカの保守派と連携して“攻めの外交”を行うこと。
と提案されていますし、
山村先生においては外務省内にも変革の動きがあり、若手の中には良心派が増えてきているということが指摘されています。この場合「外務省だから」と十把一絡げに批判するのではなく、伊勢志摩サミットを成功裏に導いた齋木昭隆事務次官のような優秀な外交官はもっと評価することも必要でしょう。
さらに、その名もズバリ憲政史家の倉山満先生の著書『反日プロパガンダの近現代史』においては、「キャッチコピーの重要性」も指摘されています。
「説明しても興味のない人には通じないし、わからない。キャッチコピー一言にまとめることが重要なのだ」と。
さらに本書『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』との関係で取り上げるとするならば『反日プロパガンダの近現代史』では産経新聞の小島優記者(当時)のことが取り上げられており、「たった一人の新聞記者が、いかにして外国人参政権を潰したか」ということが語られています。
奇しくも本書『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』は産経新聞出版社から出版されており、産経新聞は慰安婦問題の真相究明に特に力を入れています。
これらの力を結集することができれば、現状を打破するキッカケがつかめるかもしれません。
杉田先生のご活動が成就し、一日も早く「河野談話撤回」が成し遂げられることを願ってやみません。
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鞭聲肅肅夜河を過る
曉に見る千兵の大牙を擁するを
遺恨十年一劍を磨き
流星光底長蛇を逸す