革命のインテリジェンス: ソ連の対外政治工作としての「影響力」工作 ソ連の出先機関だった日本社会党(現・民進党)

書評『革命のインテリジェンス』佐々木太郎著

~ソ連出先機関だった日本社会党(現・民進党)~

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ソ連による対米、対日、対欧浸透工作の実態を暴く一冊

本書は “影響力”のある個人を使って標的国の世論や政策を秘密裡に誘導する政治工作、すなわち「影響力」工作を、ソ連戦間期から1940年代半ばにかけて世界各地で展開していた“事実”を明らかにするというもので、ソ連の影響力工作、間接侵略工作の実態、代表的なところでは、「米国政府中枢にいかに入り込んでいたのか」や「日本の政治の中枢にいかに入り込んでいたか」という実態が描かれている。
 
■アメリカにも共産党が存在した?!
実は”資本主義”、”自由の国”の象徴ともいえるアメリカにも「アメリカ共産党」という共産主義政党が存在しているということはあまり知られていないのではないだろうか。
私もアメリカ共産党の存在は「ヴェノナ」(ジョン・アール・ヘインズ著、中西輝政編訳。絶版)や「コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾」(江崎道朗著)を読むまで全く知らなかった。
たしかに今では”非合法化”され実態としては無いに等しいようだが、戦前~冷戦初期の頃、アメリカにおいて”赤狩り=レッドバージ”が行われるまでは一定以上の勢力を誇っていたようだ。
 
本書「革命のインテリジェンス」では世界最大の資本主義国であるアメリカに対して、そのアメリカ共産党を通じて、あるいはそれ以外のルートを通じてソ連の情報機関による「影響力」工作がいつ頃から着手されるようになったのか、その起源について明らかにしている。
 
ある人物はソ連の支援によって政治家を目指し、
ある人物はアメリカ共産党員であることを伏せてジャーナリストとして言論活動を行い、アメリカ国内の有名政治新聞で副編集長まで上り詰める。
ある人物はアメリカ政府高官でありながら、アメリカの国策にかかわる機密情報を非合法に提供し、ソ連に有利になるように誘導する。
ある人物は原爆の開発メンバーでありながら、その開発資料をソ連に提供し、ソ連の核開発、開発に要するコスト、開発期間を劇的に改善させる。

ソ連あるいは共産主義の浸透工作の凄まじさが改めて浮き彫りになっている。
 
■日本における影響力工作
アメリカに対するそれと同じように、日本に対する影響力工作もすさまじい。
本書によると与野党、マスコミ、公安関係者とありとあらゆるところに、その「影響力工作」は及んでおり、具体的な事例として本書では以下の事例が取り上げられている。
 
自民党の代議士
・“周恩来の遺書“という偽文書をコラムにのせた大手新聞社の編集局次長 山本卓二※朝日新聞ではない。
日本社会党の幹部たち
・公安関係者
 
1975年~79年まで東京のKGB駐在部に勤務して対日工作にあたり、その後アメリカに亡命したスタニスラフ・レフチェンコによる米国連邦議会下院情報特別会聴聞会における、日本における自身の活動についての証言、“レフチェンコ証言”によると
KGBは1970年代において、日本社会党の政治方針を効果的にコントロールできていた。同党の幹部のうち10人以上を影響力行使者としてリクルートしていた」
とされている。
 
日本における共産主義の政党といえば、まずは「日本共産党」の名が挙がるだろうが、日本共産党は「中国の出先機関」であり、ソ連の日本における出先機関は「日本社会党」であった--。
それどころか、与党幹部にも、マスコミにも、公安当局にすら“エージェント”が入り込んでいた事実を本書は、元KGB諜報官であるレフチェンコ氏の証言やビットマン氏らの証言、それを裏付ける根拠資料と共に見事に暴き出している。
もちろん、個々の事例に関しては専門家の間では既に既成の事実であったのかもしれないが、それでも本書のような形でまとまった形でソ連の浸透工作をしると改めて浸透工作の凄まじさに、そして、その「日本社会党」の生き残りが、現「民進党」の幹部らであり、いまだ日本の政治の中枢に深く関与していることを思うと戦慄を覚える。 

憲政史家の倉山満先生曰く「戦後の日本はアクター(当事者)ではなくシアター(舞台)に成り果ててしまった」そうだが、まさにアメリカ、ソ連共産党中国共産党が入り混じっての“代理戦争”が日本の政治を舞台に繰り広げられていたのかと思うと、「戦後の日本は平和だった」という認識すら崩れてしまうのではないか。
 
これがまだ“序の口”だということが本書の内容の濃密さを物語っている。
日本の政治史、国際政治に興味がある人にとっては必読の一冊。

 

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書評 『日本をダメにするリベラルの正体』山村明義著 リベラルは泥棒のはじまり?! #桜をやめると本が売れる

『日本をダメにするリベラルの正体』山村明義
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リベラルは泥棒のはじまり?!

 
昨年のイギリスのBrexitやアメリカの大統領選挙でのトランプ氏当選などからも明らかなようにいわゆるマスコミ・知識層に代表される”リベラル”の世界的凋落は火を見るより明らかになってきている昨今。
 
では、日本のリベラルの現状はどうなのか。
ジャーナリストの山村明義先生が書き上げた本書では、この「日本のリベラルの現状はどうなっているのか」という問いかけに対して、明確な答えを導き出しています。
 
それは「日本のリベラルは嘘と欺瞞にまみれている」ということです。
そして、嘘と欺瞞にまみれたリベラルは”多くのもの”を国民から盗み奪っているということも指摘しなければならない事実なのではないでしょうか。
 
ここではリベラルが国民から盗み奪ったものを3つ挙げたいと思います。
 
■リベラルが盗んだもの① 知る権利~イデオロギーを優先するリベラル~

 
マスコミが”最も優先しなければならない役割”とは何でしょうか?
それは「事実を正しく報道すること」であり、「国民の暮らしや安全に直結する出来事を速やかに報道すること」、すなわち「国民の知る権利」を充足させることが最もマスコミに求められていることであるはず。
  
ですが、この「事実を正しく報道する」、「国民の暮らしや安全に直結する出来事を速やかに報道する」という役割は適切に果たされていると言えるのでしょうか。
 
本書でも左派系メディアのことも含め、

思想的な「左翼」や、「平等主義」あるいは「寛容主義」的な「リベラル」を標榜する人たちは、「中立」を謳いながら、気に入らない相手を攻撃したり、批判したりする。

 

リベラルな人たちは現実と乖離した夢ばかりを語り、他人を批判することによって生きながらえてきた

 
と指摘されていますが、朝日新聞に代表されるリベラル系のマスコミ・新聞・TVなどを見ると、どう贔屓目にみても「事実を正しく報道すること」よりも「自らのイデオロギーを充足させる報道」優先させているように思えます。
 
もちろん人にはそれぞれ個性があるように、マスコミ各社にもそれぞれに個性があって然るべきであり、物事を観る視点や切り口が異なることは否定しませんが、それも度が過ぎると単なる偏向報道”あるいは”捏造報道”と言われても仕方がないのではないでしょうか。
 
例えば今現在、連日新聞やTV、ワイドショーを賑わせているのは森友学園問題」豊洲市場移転問題」です。
一方で、北朝鮮が新型エンジンを開発したことや、トランプ政権が北朝鮮に対して「限定空爆」を含む、金正恩氏を排除する「斬首作戦」を検討していることなどは一体どれほどの時間を割いて報道されているのでしょうか?
 
秋田県では「ミサイルを想定した全国初の住民避難訓練が実施されましたが、半島有事ともなれば、もしかしたら全国の都道府県で同様の訓練をやる必要が出てくるかもしれません。
それ以外にも北朝鮮から大量の難民が日本に押し寄せてくるケースや、北朝鮮によるテロ、例えば天然痘などを使った生物・化学兵器の使用が日本で行われる可能性も安全保障の専門家からは指摘されています。
(参考)
【日刊SPA!北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】 https://nikkan-spa.jp/1302106
 
これらのことよりも森友学園問題」豊洲市場移転問題」の方がニュースとして重要なのでしょうか?
 
マスコミが自らが「報道したいこと」を優先させることによって私たち「国民の知る権利」が盗み奪われ、「身の安全に関わることが疎かにされているのではないか」と感じるのは一部の人間だけではないはずです。
 
■リベラルが盗んだもの② 日本の国際社会での地位~いじめに加担するリベラル~

 
第二に、リベラルを自称する左派団体が盗み奪っているものとして、日本の国際社会での地位が挙げられます。
慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』(杉田水脈著)http://bit.ly/2mzuMkp)によって明らかにされていることの一つは、人権団体を称する左派系団体が日本の国際的地位を貶める活動に日夜いそしんでいるという事実です。
普通の日本人の感覚でいけば、「日本人なのだから日本が好きなのは当たり前」のはずなのですが、どうやら「そうではない」人たちもいるようで、そういう人たち、すなわち「日本人なのに日本が嫌いな人たち」は中韓など諸外国の反日団体と連携して、「日本は悪い国でした」という悪評を国際社会に発信することに腐心しているというのです。
 
これによって、アメリカでは日系人の子供がいじめの被害に遭ったり、身の危険を感じるような事も発生しているということが『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』では取り上げられ紹介されています。
 
「いじめや差別をなくそう」というのが目的で設立されている”はず”の人権団体は、日本を貶めようとすることで間接的に「いじめ」や「暴力の助長」に加担しているという”事実”を目の前にして、何ら良心の呵責を覚えないのでしょうか?
 
■リベラルが盗んだもの③ 国民所得と経済成長~人権よりも財政再建が大事なリベラル~

 
最後に、日本のリベラルが盗み奪っているものとして国民所得と経済成長が挙げられます。 
本書でも山村明義先生が指摘されていますが、安倍政権の行っている経済政策は実は経済左派」の施策に他ならず、むしろ日本のリベラルの唱える経済政策は経済右派とも称すべき「シバキ主義」「清算主義」「設計主義」に凝り固まっており、とりわけ特筆すべき点として日本ではリベラルほど”増税”、”財政再建”を主張しているという”ねじれ現象”が生じている点が挙げられます。
 
カルビン・クーリッジ第30代アメリカ大統領は、「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である。」という名言を残しました。
 
またブレディみかこ氏という英国在住のリベラリストの著書『THIS IS JAPAN』によれば、「欧州では左派リベラルほど、大前提としてみな”反緊縮”の経済政策を志向している」と述べられています。
緊縮財政政策とは財政赤字削減を優先課題にすることであり、財政支出を削減したり、増税することでこれを達成しようとする政策のことです。
そうなると政府は公共投資を控え、福祉、住居、医療、教育といった最低限必要な分野への支出も減らし始めます。
イギリスでは過度な緊縮財政によって、公的インフラ削減・閉鎖によって公務員が失業または非正規労働者となったり、医者に診療を受けることが至難の業になったり、学校でも1クラス当たりの人数が増え、近所の学校が定員オーバーとなり街はずれの遠く離れた学校に通わなければならない生徒が出てくるという事態が現実に発生していると記されています。
 
極めつけは英国政府による障害者認定であり、障害者への生活補助金を削減するために「片手に指1本あれば就労可能」と皮肉られるほど障害認定の基準が厳しくなり、必要な支援を受けられなかった障害者が死亡するケースも相次いだため、国連から「英国政府は障害者の人権を侵害した疑いがある」として調査に乗り出す事態にまで至っているというのです。
 

「”財政赤字を減らすために人命まで犠牲にするのはおかしい”という庶民の叫びを反映させるために立ち上がったのがイギリスの左派系政党なのだ」


と指摘されています。
   
一方、日本ではどうでしょうか?
「緊縮財政は人権侵害だ」という声が日本のリベラルから聞こえたことはありません
むしろリベラルが率先して「増税しろ、財政再建しろ、そのためには社会保障を、公共投資を削減しろ」と主張しているではありませんか。 
 
ここに取り上げた事柄だけでもいかにリベラルが嘘と欺瞞にまみれているかということが明らかになっていると言えます。
  
■本当のリベラリズムは何処に

 
では、本当のリベラリズムは一体、どこにあるのでしょうか?
本書『日本をダメにするリベラルの正体』において、山村先生はその答えのひとつとして「あるもの」を提示されています。
「そこ」には「魂の自由」が存在していると。
また「それ」は最近大ヒットしたアニメ映画とも密接に関連しているそうです。
「それ」は日本が古来より持っていたものであり、私たちとってとても身近な存在でもあります。
ですが、戦後ずっと日本古来のものより外国製のものの方が素晴らしいかのように刷り込まれてきた私たちにとっては、むしろ「古くて新しいもの」であり、現代においては極めて「新鮮」に、「最先端のもの」に思えるかもしれません。
 
「それ」が何を指しているのか。
少しでも興味を持たれた方は是非本書を手に取って確かめてみてはいかがでしょうか。
 
お薦めです。

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本が好き!書評PVランキング『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』がぶっちぎり1位!

本が好き!書評PVランキング『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』がぶっちぎり1位!
トップ10のうち6つがチャンネルくららファミリー本!!
#本が好き #書評 #杉田水脈 #倉山満 #海上知明 #内藤陽介
#チャンネルくらら  

書評PVランキング17/3/13-17/3/19

本が好き!書評ランキング【本が好き!】



 
第1位 1,834PV 『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』 杉田水脈

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第3位 427PV   『嘘だらけの日仏近現代史』 倉山満

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第4位 368PV   『川中島合戦:戦略で分析する古戦史』 海上知明

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第5位 284PV   『アウシュヴィッツの手紙』 内藤陽介

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第6位 279PV   『反米の世界史』 内藤陽介 

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第9位 244PV   『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男』  倉山満

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書評『政争家・三木武夫』がウェブサイト「新刊JP」に掲載されました!

『政争家・三木武夫』のことを書いた拙書評がウェブサイト「新刊JP」に掲載されました!

『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男』
http://bit.ly/2nvbfBJ
角栄ブームにトドメを刺す!第17.5代自民党総裁が語る、角栄を殺したバルカン政治家の功罪

 

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本が好き!書評PVランキングで『嘘だらけの日仏近現代史』と『川中島合戦』がワンツーフィニッシュ!

本が好き!書評PVランキングで『嘘だらけの日仏近現代史』と『川中島合戦』がワンツーフィニッシュ!

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他にも『政争家・三木武夫』と『環境問題の戦略的解決』、『アウシュヴィッツの手紙』がトップ10入り!

 

本が好き!書評PVランキング 17/03/06-17/03/12

http://bit.ly/2dDufYe

 

第1位 698PV

『嘘だらけの日仏近現代史』 倉山満著

http://bit.ly/2lta0FM

 

第2位 464PV

川中島合戦:戦略で分析する古戦史』 海上知明

http://bit.ly/2lH6cz1

 

第4位 399PV

『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男』 倉山満著

http://bit.ly/2irHUog

 

第6位 310PV

『環境問題の戦略的解決』 海上知明

http://bit.ly/2mpozsu

 

第9位 243PV

アウシュヴィッツの手紙』 内藤陽介

http://bit.ly/2cRwdnZ

 

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書評『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』 日本を蝕む、”反日日本人と外務省”の闇

日本を蝕む、”反日日本人と外務省”の闇

書評『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』

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慰安婦像は反日日本人と外務省が生み出したと言わざるを得ないのではないか-。
本書は慰安婦問題」を取り扱うことで、「従軍慰安婦が事実か否か」という歴史認識だけではなく、もっと「深い闇」がその根底にあるということを浮かび上がらせることに成功しています。

 
■日本を貶める反日”日本人”
本書が明らかにしているのは「日本を貶めたいと考えている”日本人”がいる」という事実です。
おそらく大多数の人にとっては理解し難いことなのではないでしょうか。
日本人なのですから日本が好きなのはごく自然なことだからです。そこに小難しい理屈を並び立てる必要はありません。外国の人から「日本って素晴らしいね」と言われたら素直に嬉しいですし、不条理なことがあれば「なんとかならないのか」、「いまよりももっと良くすることはできないのか」と思うのも「日本が好きだから」ではないでしょうか。
 
ですが、残念ながらそのように考えることができない日本人がいることも事実のようです。
戦時中においても日本共産党野坂参三や、共産主義に染まったことで日本にいることができなくなった共産主義者ジョー・コイデら米国側あるいはソ連の国際共産主義組織「コミンテルン反日プロパガンダに加担していたこと『ブラック・プロパガンダ』(山本武利著)、『アメリカ共産党コミンテルン(ハーヴェイ・クレア、ジョン・アール・ヘインズ著)等によって明らかになっていますし、最近のものでは『革命のインテリジェンス』(佐々木太郎著)において、日本のマスコミ、公安関係者をはじめ今の民進党の幹部たちの多くがその出自としている旧・社会党ソ連の工作機関であるKGBの影響下にあり、党の政治方針すらコントロールされていたことが明らかとなっています。
  
本書でも「慰安婦=性奴隷」というプロパガンダを国連の場に持ち込んだのは、ほかでもない反日日本人”であるということが、多くの事実関係、講演会などで起きた悪質な妨害、嫌がらせ、国連の場の生々しい出来事の数々などによって示されています。
 
■「世界抗日連合」による「日本人民および日本政府への宣言」、およびその実践としての「慰安婦
本書で特に注目したのは反日日本人が組織する左翼系団体が「世界抗日戦争史実維護連合会(世界抗日連合)」と連携しながら活動している団体であるということです。
 
ここで登場してくる「世界抗日連合」という組織は一体どういう組織なのか。
それは評論家の江崎道朗先生著の『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾』において詳しく語られているのですが、「1994年に結成された、日本の戦争責任を追及するアメリカ、カナダ、香港を中心とする世界中の三十もの中国系、韓国系、日系団体が結集・結成した統一組織」なのだそうです。

その世界抗日連合は「南京大虐殺57周年世界記念会議」において「対両岸政府宣言」「日本人民および日本政府への宣言」という2つの宣言を採択しており。「日本人民および日本政府への宣言」の中で次の”5つの要求”をしていることが江崎先生の手によって指摘されています。
 
- 1.中国人民への謝罪を公式に声明し、両岸政府に文書として提出する。
- 2.日本の歴史教科書の誤りを正し、歴史の真実を明らかにする。
- 3.中国および日本での”記念碑”を立て霊魂を慰め、その事実を”碑”に刻み、後世の人が過ちを繰り返さぬようにする。
- 4.あらゆる被害者に合理的賠償を実施する。
- 5.関連公文書資料を公開し、過去の日本の軍閥の罪行を明らかにする。

 
「中国および日本での”記念碑”を立て霊魂を慰め、その事実を”碑”に刻み、後世の人が過ちを繰り返さぬようにする」-。
 
世界抗日連合という国際的反日グループの一翼としての日系団体が主体的に実行しているのが「慰安婦問題」であるように見えるのは気のせいではないでしょう。
 
■かくも根深き外務省の闇~チャイナ・スクール瀋陽総領事館事件
また、本書を読めば誰でも疑問を持つのが、これら反日プロパガンダに対する外務省の姿勢ではないでしょうか。
 
なぜ、これほどまでに日本が貶められているのに外務省は反論しようとしないのか-。
 
なぜ、日本を守ろうとしている側を外務省はないがしろにするのか-。
 
著者の杉田水脈先生が「一体どこの国の外務省か」と憤りを感じるのも無理はありません。
  
ですが、そのような外務省の外交姿勢は「弱腰外交」「事なかれ主義」という単純なレベルのものではなく、もっと根深い「闇」を抱えているものであることも事実のようです。
 
新著『日本をダメにするリベラルの正体』絶好調のジャーナリスト山村明義先生の2014年の著書『GHQの日本洗脳』によれば、戦後GHQ占領下の外務省はGHQとの「連絡調整業務」以外は役割がなく、自主独立国としての「外交権」のほとんどを奪われた状態にあったそうです。
 
占領当初のGHQ「政治顧問団」の団長を務めていたのが初代外交局長(大使)となったジョージ・アチソンでしたが、アチソンは駐豪専門家として国務省を歩んできた「チャイナ・スクール」の外交官であり、中国寄りのアチソンは日本に対してとことん「強硬派」であり、当初は「外務省の廃止」すら迫って来ていたそうです。
 
このため、占領期のみならず戦後の日本は「補償外交一辺倒」となり、どの国でも当たり前の「自主外交」すら満足に出来ずにきたというのです。
特に注目すべきは作中で引用されている村田良平元外務事務次官の言葉で、

「日本は普遍的に受け入れられている民主主義や人権や自由についてさえ対外的には明確に語ってはならないとされていました。」

 

「民主主義の概念が組み込まれていない北朝鮮や中国の体制に対してさえ、基本的な自由とか人権について発言することを一切、控えてきました。」


のだというのです。
これだけにとどまりません。
山村明義先生の別著「外務省 対中国、北朝鮮外交の歪められた真相」では平成14年に発生した瀋陽総領事館事件※を主題に、いかに外務省内の「チャイナ・スクール」と呼ばれる面々が権力を握り、「中国への迎合と自己保身」だけを目的に存在しているのかということを明らかにしています。
(※瀋陽総領事館事件総領事館に駆け込みをはかった「脱北者」家族5人を中国側に引き渡してしまった事件。「ハンミちゃん一家駆け込み事件」としても知られ、ハンミちゃんの父親、キム氏が逃亡中に必死で投げた手紙を日本領事が受け取ろうともしなかったことや、当時の阿南惟茂・駐中国大使「大使館に入ってくれば、不審者とみなして追い出せ。人道的な面で問題になれば、わたしが責任を取る。入ってきて、面倒なことになるくらいなら、追い出した方がよい」と指示していたと報道され、人権軽視の事なかれ主義だと批判された事件)
 
同じ日本人として信じたくありませんが、外務省出身者の評論家・孫崎享拉致家族を北朝鮮へ送り返そうとした田中均のような人物が外務省の要職を歴任していたことや、2017年の現在においても駐中国大使を務めているのが過去に南京大虐殺を認める発言をしたと言われているチャイナ・スクールのエース、横井裕駐中国大使であることを思うと、本書で明らかにされている現在の外務省の姿勢も「さもありなん」という絶望にも似た気持ちになってしまいます。

反日プロパガンダに対抗するために
では現状の打開策として一体何ができるのでしょうか。
例えば江崎先生は、前述の『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾』において
・アメリカを舞台にした反日宣伝には英語で反論すべき。
・内外の反日宣伝に対処する専門機関の創設
ASEANに代表される親日ネットワークおよびアメリカの保守派と連携して“攻めの外交”を行うこと。

と提案されていますし、
 
山村先生においては外務省内にも変革の動きがあり、若手の中には良心派が増えてきているということが指摘されています。この場合「外務省だから」と十把一絡げに批判するのではなく、伊勢志摩サミットを成功裏に導いた齋木昭隆事務次官のような優秀な外交官はもっと評価することも必要でしょう。
 
さらに、その名もズバリ憲政史家の倉山満先生の著書反日プロパガンダの近現代史においては、「キャッチコピーの重要性」も指摘されています。
「説明しても興味のない人には通じないし、わからない。キャッチコピー一言にまとめることが重要なのだ」と。
 
さらに本書『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』との関係で取り上げるとするならば『反日プロパガンダの近現代史』では産経新聞の小島優記者(当時)のことが取り上げられており、「たった一人の新聞記者が、いかにして外国人参政権を潰したか」ということが語られています。
 
奇しくも本書『慰安婦像を世界中に建てる日本人たち』は産経新聞出版社から出版されており、産経新聞慰安婦問題の真相究明に特に力を入れています。
 
これらの力を結集することができれば、現状を打破するキッカケがつかめるかもしれません。
杉田先生のご活動が成就し、一日も早く河野談話撤回」が成し遂げられることを願ってやみません。


お薦めです!

 

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書評『川中島合戦:戦場で分析する古戦史』 流星光底、<天>を逸す~川中島は辺境の縄張り争いに非ず!天下統一の準決勝だった永禄四年の死闘~

書評『川中島合戦:戦場で分析する古戦史』

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流星光底、<天>を逸す ~川中島は辺境の縄張り争いに非ず!天下統一の準決勝だった永禄四年の死闘~

江戸時代の儒学者、史家の頼 山陽は川中島の戦いを題材にして次のような句を詠んだと言われています。

鞭聲肅肅夜河を過る
曉に見る千兵の大牙を擁するを
遺恨十年一劍を磨き
流星光底長蛇を逸す


(意味)
馬にあてる鞭の音もひそやかに、上杉勢は夜陰に乗じてひそかに河を渡った。夜明け方、川霧の晴れ間から上杉の大軍が、大将旗を押し立てて、武田勢の前に陣取っているのが見える。謙信にとって返す返すも残念なことは、長い年月の鍛練で磨いた腕前もかいなく、流れ星のきらめく一瞬の差で、強敵信玄を逃がしてしまったことだ。
 
「流星光底長蛇を逸す」の「流星光底」とは振り下ろす刀剣の閃光を流星にたとえた言葉であり、「長蛇」は「大きく長い蛇」の意味から転じて、「大きな獲物」や「またとない機会」を表すのだそうです。
 
一般的には、「長蛇」とは”強敵・信玄”のことを指すと解説されることが多いようですが、果たして本当にそうだったのでしょうか?
 
謙信が取り逃してしまった大きな獲物、「長蛇」とは、”信玄”ではなく「天下」そのものだったのではないか-。
 
本書を読めばこう思わずにはいられません。
 
著者の海上知明先生は孫子経営塾理事も務められる「孫子」専門家であり、古今東西の戦略・地政学に精通した地政学的戦史分析の第一人者です。
そんな海上先生が命を削る思いで書き上げたのが本書であり、今までになかった視点、すなわち地政学的観点、戦略的観点から俯瞰して「川中島合戦」を捉え、「川中島」という場所の重要性を看破することで、「永禄四年川中島合戦」の結果が、その後の東国、ひいては天下の行方を決定づけたのだということが論じられています。
 
孫子の体現者、”バランス・オブ・パワー”の武田信玄
本書では武田信玄孫子の体現者」として描かれており、信玄の軍事戦略、権謀術数は全て「孫子」に忠実に従って実行されていたのだと指摘されています。(信玄の象徴として有名な軍旗風林火山孫子から引用したもの。)
 
孫子」を忠実に実践したと書くと、まるで「マニュアルバカ」のように聞こえるかもしれませんが決してそうではありません。何よりも孫子そのものが戦略の原理原則を書き記したものであって、読むだけなら誰でも読めますが、実践しようと思えば、これほど難しいものはないという書です。(それだけ普遍性が高いとも言えますが)
 
その孫子を体現するという域にまで高めるというのは並大抵のことではありません。海上先生も「最もよく孫子を体現したのは、魏の曹操と信玄ぐらいではないか。」と指摘するぐらいです。
 
このように信玄が当代きっての名将だったことは現在においても広く知れ渡っていますが、そのイメージが強すぎるためか、実は信玄が当主となった頃の甲斐という国は強大国に挟まれた新興勢力に過ぎなかったということは、意外と忘れられている事実なのではないでしょうか。

甲斐から見て西側にある東海地方には今川氏が、東側にある関東地方には北条氏が既に一大勢力を築いており、甲斐はその二大勢力に挟まれるという位置関係にありました。
 
このため二大勢力から脅威と思われないようにする必要性があったのでしょう。周辺諸国を過度に刺激するような、合戦という目立つ形の勢力拡大ではなく、謀略を巡らすことで自国の勢力拡大を図ります。
 
そして二大勢力の間で、一定程度の勢力を持つことで、今川氏の勢力が拡大すれば、北条側について今川氏をけん制する。北条氏側の勢力が拡大すれば、逆に今川氏につくという形でバランスをとる、東国の勢力均衡のバランサーの役目を演じることに当初は徹します。
 
かの有名なSF歴史小説銀河英雄伝説でいうところの商業惑星国家フェザーンのような立ち振る舞いといったところでしょうか。

信玄というと戦場の強さ以外にも謀(はかりごと)に長けていたイメージがあるのも、周囲を強敵で囲まれた中で発揮した処世術に起因しているのかもしれません。
 
私の中の信玄像としては、周囲には自らと同じ力量を持つライバルが存在するも、智勇に優れ、あらゆる面において高レベルであったという点で、銀河英雄伝説でいうところの”帝国の双璧”、オスカー・フォン・ロイエンタールを想起させます。(ついでに言うと父親と確執を持っていたというところもよく似ている気がします。)
 
孫子の超越者、”第一義”の上杉謙信
では、一方の謙信はというと、その軍事的才能信玄のそれの、さらにその上をいくものだったと海上先生は指摘します。
勿論、謙信も「孫子」を学んでいたはずなのですが、本書で描かれているあまりにも完璧な作戦行動「戦術は謙信、戦略は信玄」という通説を吹き飛ばさんとばかりに孫子の体現者」たる信玄を意のままに操るその様子は、むしろ孫子の超越者」と形容したくなるほどです。
 
また「義」を貴び、領土的野心が一切なかったというのも合理主義的思考からは程遠く、常人離れしていたと言えます。
一言で言えば、天衣無縫の孤高の天才というべきなのかもしれません。

謙信を銀河英雄伝説でたとえるならば”常勝”ラインハルト・フォン・ローエングラム”不敗”ヤン・ウェンリーを足して2で割った人物というのが最も適切な表現ではないでしょうか。

地政学から見た”川中島”~辺境の縄張り争いに非ず~
そんな当代きっての名将同士がなぜ川中島で激突したのか-。
諸説ありますが、互いに肥沃な土地である信濃の掌握を企図したからだとか、威信政策のひとつだとか、単なる辺境地域での縄張り争いに過ぎないという見解も多く見受けられるようです。
ですが、本書ではそれらの諸説を地政学的見地から否定し、「天下に覇を唱える」ための必然性の中に川中島という地があったということを明らかにしています。
 
川中島がなぜ天下の帰趨を決する要所と言えるのかについて、海上先生は地政学ハートランド論・リムランド論)から論じておられますが、日本地図で見る川中島は、まさに互いの国力がぶつかり合う海峡の如き”交通地域”であり、さらに川中島攻略のその先に「上洛へのルート」が開けてくるそのさまは、「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界の運命を制する」というテーゼがそっくりそのまま活きてくる、まさに”リムランド”そのものであるかのようです。
そういう意味において、川中島合戦」は天下に覇を唱えるための”準決勝戦”だったというのが最も適切な表現なのかもしれません。

 
■「永禄四年川中島合戦」 ~決戦を強要する謙信、引きずり込まれる信玄~
そんな歴史の必然の中にあった”川中島での戦い”でもハイライトと言えるのが「永禄四年の第四次川中島合戦」であり、幾度となく行われた戦いの中でも最も激しい激戦であり、その後の両雄の運命を決したと言っても過言ではない一戦であるように思います。

海上先生も「永禄四年川中島合戦」をして「世界の戦史史上、類を見ないほどの高度で精緻なレベルの知略戦であった」と評していますが、中でも特筆すべきは、謙信の”芸術的”とも言える戦略・戦術ではないでしょうか。
 
この時の謙信の戦争目的は「武田軍を殲滅する(!)」です。
そしてこのとんでもない目標を謙信は「戦術は謙信、戦略は信玄」という通説が妄言に思えるほどの完璧さでもって信玄を追い込んでいくことで実行していきます。
 
そもそも信玄だって「孫子の体現者」の名を戴く名将であり、並みの武将ではありません。途中で謙信の意図に気付き、何とかその術中から抜け出そうと知略を尽しますが、それすら謙信は見通していたかのようなその様は、「銀河英雄伝説」において、戦場における卓絶した心理学者であり、魔術と評される自在の戦術を弄したヤン・ウェンリーを想起させるかのようです。
 
そして追い詰められた信玄も意を決して”決戦”に打って出たのが世に言う武田別働隊による「啄木鳥(きつつき)戦法」です。
この「啄木鳥戦法」についても海上先生は当時の戦場の様子や軍の配置、そこに至るまでの経緯から、通説とは異なる見解を述べられていますが、私としても海上先生の見解の方がより説得力があるように思います。
 
■謙信、唯一の誤算~武田軍、精強なり~
「永禄四年川中島合戦」の戦果を冷静に評価した場合、「謙信の圧勝」となるのではないでしょうか。「9:1で謙信の勝ち」であったように思います。
ただ、謙信の唯一の誤算が「10:0」ではなく、「9:1」と「1」を残してしまったことにあると言えるのではないでしょうか。
 
それはとくもかくにも武田軍の精強さに尽きるように思います。家康・信長程度であればひとたまりもなかったであろう、謙信の猛攻を耐え抜き、甚大な被害を被りながらも「1」を勝ち取ったのですから。
 
元々プロパガンダにも優れていた信玄はこの「1」を喧伝することで「2」にも「3」にも増やし、結果として今のパブリックイメージ「戦術は謙信、戦略は信玄」という所まで持ってきているのですから、やはり信玄も只者ではありません。
 
何より痛恨だったのは「1」を残してしまったこと、すなわち武田軍が存続することになったことで、東国のバランス・オブ・パワーが固定化されてしまったことです。これにより「川中島を経由しての上洛」というシナリオの実現可能性もゼロに等しくなってしまいました。
ここに至ってようやく信玄も、謙信もそれぞれ別の上洛ルートを模索し新たな戦略を構築し始めることになります。
 
川中島」に費やした12年もの歳月、そしてその結果閉ざされてしまった「川中島上洛ルート」は、結果として信玄、謙信双方に天下獲りへの大きな迂回を強いる結果となりました。

■流星光底長蛇を逸す
冒頭でも述べた通り、「長蛇」は「大きく長い蛇」の意味から転じて、「大きな獲物」や「またとない機会」だとされているそうです。
その一方で、中国には「蛇は1,000年生きると龍になる」という伝承もあり、「龍」と言えばまさに天高く舞い上がる”栄達”の象徴であり、「長蛇」とは途方もない大きさの”栄達”、すなわち「天下統一」と捉えることもできるのではないでしょうか。
 
もし「川中島合戦」がなかったら、もし謙信、信玄どちらかが相手を殲滅していたならば、”長蛇”は誰の手中に納められていたのでしょうか。
 
地政学、戦略の中にも歴史の「if」を感じさせる素晴らしい一冊でした。
おススメです!

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