書き換え「佐川氏関与」 財務省、森友文書12日報告 日経 備忘

書き換え「佐川氏関与」 財務省、森友文書12日報告

 

 財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書に関する調査結果を与党や国会に報告する。決裁文書が複数存在し、書き換えがあったと認める。文書の国会提出時に理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の関与も報告に盛り込む。財務省は事実関係のねじ曲げはなかったとみているが、野党側が反発をさらに強めるのは必至だ。

財務省が森友文書の「原本」として提示した写し(8日)

財務省が森友文書の「原本」として提示した写し(8日)

 麻生太郎財務相は11日、都内で福田淳一財務次官ら同省幹部から調査結果の報告を受けた。同省は12日に与党幹部や参院予算委員会衆院財務金融委員会の理事らに報告する見通しだ。

 問題になっているのは2016年6月に作成した国有地売却に関する決裁文書だ。当初の内容が書き換えられたとの疑惑が浮上し、国会が紛糾。財務省は関連文書を保管する検察当局に協力を求めて調査を進めてきた。

 12日はこれまで国会に示してきた決裁文書とは異なる文書を複数示し、書き換えがあったと認める。複数の政府関係者によると、決裁文書から政治家らの名前を含む記述を削った例が見つかった。財務省の調査では佐川氏の関与も判明した。

 財務省大阪地検特捜部の捜査状況をにらみつつ、書き換えにかかわった本省や近畿財務局幹部らの処分を検討する。佐川氏は国税庁長官の辞任にあわせて9日付で減給の懲戒処分を受けたが、麻生氏は「さらに重い懲戒処分に相当する可能性もある」と述べている。

 森友問題を巡っては、売却価格が大幅に値引きされた経緯や「交渉記録は廃棄した」とした佐川氏の国会答弁が問題視されてきた。財務省が決裁文書の書き換えを認めることで、野党の反発が強まるのは必至だ。行政文書のあり方をめぐる議論に発展する可能性もある。